令和4年度施政方針

町議会3月定例会において、町政運営の基本的な考え方や主要な取り組みなどを示す「施政方針」を、町長が表明しました。

   令和4年度の当初予算を始めとします町政の重要案件につきまして、ご審議をお願いするに先立ち、挨拶と町政運営に関する基本的な考え方を申し上げ、議会をはじめ町民の皆様のご理解とご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

   2月24日、ロシア軍がウクライナに軍事侵攻しました。ウクライナは戦火に見舞われ民間人にも多数の死傷者が出ている状況にあります。欧米各国と協調し日本もロシアに対する経済制裁措置に打って出ています。何があっても武力による問題解決は許されるものではありません。1日も早い停戦に向け、話し合いによる解決を望んでおります。

   新型コロナウイルスはオミクロン株による第6波が爆発的に拡大し、全国で社会経済を始めあらゆる領域が大きな影響を受け、人々の生活が危機にさらされています。
   まずは、町民の皆様の命と健康を守ることを最優先に、新型コロナウイルス感染拡大防止とその予防に3回目のワクチン接種に全力で取り組み、安心して暮らせる日常を取り戻すことが第一だと考えます。

   新型コロナウイルス感染症により、東京一極集中の是正と、地域の多様性を重視した暮らし方など「分散する社会」が見直されています。
   地方が見直されつつある中で、広川町では、令和3年度から3年間のまちづくりの方向性を示す「広川町第4次総合計画(改訂版)」に沿った「だれもが元気で笑顔に満ちたまち 広川」を将来像に、町民一人ひとりが主体的に参画・協働する、加えてSDGsを基本理念としたまちづくりを共通の目標としています。

   また、人口ビジョンの実現に向け、「第2期広川町まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げる4つの基本目標達成のため、雇用の創出、関係人口拡大、移住者支援、結婚・出産・子育て支援、特色ある地域づくりなどの移住・定住施策を引き続き実施します。

   それでは、令和4年度の町政運営にあたりまして、第4次総合計画(改訂版)に掲げる6つの基本施策に沿って説明申し上げます。

基本施策1 出会いと語らいのあるまち

   協働によるまちづくりの推進、及びコミュニティ活動の推進につきましては、「第2次広川町協働推進計画」に基づいた住民参画の推進や、行政区、NPO・ボランティア団体等と連携した協働のまちづくりを推進します。
   第2期地域づくり計画書に基づいた各地域コミュニティ推進事業において、まちづくり委員会に対する支援を行います。

   情報化の推進につきましては、広報紙やホームページをはじめ、公式LINEの充実を図るとともに、動画等を活用した町の魅力発信など、住民への情報発信の強化を図っていきます。
   マイナンバーカードを利用した行政手続の利便性向上とカード普及のための申請補助支援を行います。
   また、電子自治体構築に向けて、デジタル技術を活用した業務効率化と特定個人情報管理などの情報セキュリティーの強化を図ります。

   交流活動の推進につきましては、多文化共生のまちづくりの推進として、在住外国人との交流の場づくりや言語の問題に対する支援などを進めます。

   人権尊重社会の形成につきましては、同和問題をはじめとするあらゆる差別の解消を実現するため、人権が大切にされる豊かな地域社会づくりに向け、各種団体と連携強化を図り、学校教育や社会教育における人権教育・人権啓発を推進します。

   男女共同参画社会の実現につきましては、男女が互いに人権を尊重し、個性と能力を十分に発揮し、自分らしく輝いて暮らせる社会の実現に向け、「広川町男女共同参画基本計画」に掲げる基本理念に基づき、意識づくりや環境づくりを進めます。

基本施策2 人と人とが支え合うまち

   自らの健康づくりの推進につきましては、町民の健康寿命の延伸に向け、健診・保健指導・運動習慣化に取り組みます。
   特定検診・保健指導の受診率は一定の成果を上げていますが、若年層に基本健診受診を勧め、歯周病健診の受診機会を増やし生活習慣病重症化予防を強化します。広川町民は県や国の平均と比べ、1日30分以上の運動習慣がない割合が増加しています。「運動ジム事業」により一人ひとりに合った専門家による「運動プログラム」を作成し、町民の運動習慣化と保健指導を充実させます。
   また、新型コロナウイルスワクチン接種の体制確保と円滑な実施を進めてまいります。

   地域福祉の推進につきましては、地域共生社会の実現を図るため、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する福祉サービスの提供、包括的な支援体制の構築に向けた取り組みを推進し、第2期広川町地域福祉計画の基本理念「みんなの支え合いの輪が広がり、安心して健やかに暮らせる笑顔のまち  ひろかわ」の実現を目指します。

   高齢者福祉の推進につきましては、「第8次広川町高齢者保健福祉計画」に基づき、「だれもが安心して健やかに暮らし続けていけるまちづくり」を目指し、人生100年時代を見据えた高齢者の健康増進を図るため、住民主体の地域通いの場の支援強化やフレイル予防などの健康教育・健康相談を推進し、保健事業と介護予防事業を一体的に取り組みます。
   高齢者世帯のニーズに対応した社会参加や生きがいづくりなど、地域支え合いの体制づくりを推進します。
   また、国が策定した成年後見制度利用促進基本計画に基づき、高齢者等の権利や財産を保護し支援するため、成年後見制度の普及・利用促進を図るとともに、権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりや市町村計画の策定など、支援体制整備に向けた取り組みを推進します。

   障がい者福祉の推進につきましては、「第6期広川町障害福祉計画」及び「第2期広川町障害児福祉計画」に基づき、障がい者が地域において自立した日常生活・社会生活を送れるよう総合的な支援を行うために、広川町障がい者基幹相談支援センター「シエル」の機能強化、及び「広川町障がい者等自立支援協議会」を中心に、地域支援のネットワーク強化に努め、相談支援・情報提供体制の充実を図ります。

   社会保障の適正な運営につきましては、国民健康保険事業適正運営のため、国保税の収納率向上に努めるとともに、国保税の県内均一化を見据えながら、資産割の廃止を含め、計画的に適正な税率改正を実施します。

   子育て支援の充実につきましては、「第2期  広川町次世代育成支援行動計画及び、子ども・子育て支援事業計画」に基づき、事業推進に努め、子どもサポートセンターにおいて、妊娠・出産・子育てに関する相談に応じ、妊娠期から子育て期までの切れ目のない相談支援体制の充実に努めます。
   また、令和4年10月開設予定の「子ども家庭総合支援拠点」では、全ての子どもとその家族及び妊産婦等を対象とし、子育てに関する不安や悩み、児童虐待に係る相談や未然防止、早期発見、再発防止など支援機関と情報共有し、迅速に対応してまいります。

基本施策3 人が育つ、人を育てるまち

   学校教育の充実につきましては、児童・生徒一人ひとりに「志を持ち確かな学力と基本的生活習慣」が身につくよう、指導力向上のための教職員研修の充実・推進に努めるとともに、それぞれの学校での特色ある教育活動を支援し、教育の目指すところを社会と共有・連携しながら実現させる「社会に開かれた教育」を実現するため、少人数学級の推進、学級担任のサポートほか個に応じた教育支援による学力向上、スクールカウンセラー・特別支援介助員、体育支援サポーターなど心身の健全な発育を促すよう、小・中学校が連携し、9ヵ年をつないだ取り組みによる児童・生徒の学力向上・体力向上を図ります。
   また、ICT教育充実のためICT支援員を派遣して、教職員への研修実施、拠点校での実践研究の支援を行い、ICTを活用した学習活動の充実を図ります。
   令和4年度は2学期制の導入に向けて試行を行い、学校における授業時数の確保及び児童・生徒へのきめ細かい指導の充実を図ります。

   生涯学習の推進につきましては、地域・家庭・学校の連携・協力を得て、幅広く町民が参加できる生涯学習プログラムを企画します。
   町立図書館においては、図書館機能の整備と充実を図り、次代を担う子供たちのために、幼少期から本に親しむことができる家庭教育支援を推進します。

   生涯スポーツの推進につきましては、町民の健康づくり、体力づくりに対する関心が高まる中、新型コロナウイルス対策を十分に講じながら、だれもがスポーツに親しむことができる環境づくりを推進します。

   青少年教育の推進につきましては、学校・地域・家庭との連携、協働により世代間交流や子どもの遊び場づくりなど地域全体で、子ども達の成長を支える取組みを推進します。

   多様な文化・芸術活動の支援につきましては、各種団体の文化芸術活動の活発化と文化財の保存・活用を進めます。

基本施策4 人が集まり、働き、賑わうまち

   農林業の振興につきましては、農業生産基盤の充実として、県営事業「前川原井堰整備事業」の完成と、長延川の井堰統廃合事業を進めます。
   また、高収益型園芸事業の推進により、生産技術の向上、スマート化による省力化、所得向上への取り組みを進めます。
   優良農地の有効活用と耕作放棄地の縮減としては、農業委員と農地利用最適化推進員が一体となり農地利用集積・集約化、遊休農地の発生防止・解消を推進し、現在、課題となっている農業担い手の育成・確保としましては、認定農業者の育成と組織の強化を図るとともに、新たに新規就農者専門支援員を配置し、JA就農支援センター等と連携した新規就農者の確保・育成・指導の強化を図ります。
   また、令和4年度は農業振興地域整備計画の見直しを進め、農業の振興を進めていく優良農地等の設定を行います。
   6次産業化として、『ひろかわ』ブランド推進協議会による6次産業化の取り組み支援を進め、農産加工品の活用、町の特産品を他ブランドとのコラボ商品開発など広川町の知名度の向上を図ります。
   林業については、福岡県荒廃森林整備事業などの森林保全・育成事業の推進を図り、森林の持つ多面的機能の持続的発揮に向けた、森づくりを進めてまいります。

   工業・地場産業の振興につきましては、新規創業者の支援とともに、商工業者の第二創業、新事業展開などの経営支援に取り組み、地域の経済活性化を推進します。
   また、久留米絣の主産地である強みを最大限に活用し、繊維産業に関心を持つ人材の確保と繊維産地としての強化を図ります。

   商業・サービス業の振興につきましては、新型コロナウイルスによる影響で経営に支障をきたしている経営者への支援を行いつつ、魅力ある商業環境づくりを進めます。

   観光戦略の展開につきましては、コロナ禍の現状では、観光客も住民も安心できる観光について再考する必要があります。個人観光客や小規模旅行を対象としたマイクロツーリズムやサイクルツーリズム、感染症対策を徹底したイベントなど新しい生活様式に沿った観光の充実を図ります

   移住・定住の促進につきましては、「Orige」・「kibiru」を拠点に、仕事とお試し居住をセットとした事業や各種講座を開催し、関係人口拡大と移住定住増加を図ります。
   また、空き家バンクを充実させ移住希望者の住居確保の支援を行います。

基本施策5 安全・安心で安らぐまち

   消防・防災対策の充実につきましては、地域住民の防災・減災意識の向上と地域防災力の強化に向け、自主防災組織における訓練等の充実、避難所の装備品・備蓄品を充実し、防災情報発信の強化を図ります。また、消防団詰所の計画的な更新に取り組み、消防団員の確保、団員の消防技術の向上に努めます。
   また、防災重点農業用ため池については、劣化調査により現状を把握し必要に応じ、耐震調査や改修等を進め、地域の安全を確保します。また、老朽化した広川防災ダムについては、改修更新事業を計画的に行います。

   交通安全・防犯体制の充実につきましては、道路の危険箇所の改善や歩行空間の確保、通学路交通安全プログラムに基づいた計画的な安全対策の推進、防犯カメラの設置などを進めるとともに、交通安全・防犯意識の高揚を図ります。

   居住環境の整備につきましては、空き家等の実態把握の結果を基に、空き家対策特別措置法及び広川町空き家等対策計画に基づいた措置を講じ、空き家所有者への指導・助言・勧告等により空き家の適正管理に努めます。
   また、住宅の耐震化、危険な老朽家屋除去、危険ブロック塀の撤去、狭あい道路の改善整備により安全安心の確保と住環境の改善を図ります。

   道路・交通網の整備につきましては、国道3号(広川~八女)バイパス計画について、国・県や八女市と連携し、事業の推進を図ります。
   また、主要地方道の歩道設置及び交差点改良についても関係機関へ積極的に要請し、早期の完成を目指すほか、未着手区間の事業化要望を進めていきます。
   道路インフラの老朽対策として、橋梁の再点検と橋梁長寿命化改修事業を進め、舗装長寿命化修繕計画により幹線道路の計画的な舗装修繕を実施し、安全安心な道づくりに努めます。

基本施策6 自然と共生する快適なまち

   循環型社会の形成につきましては、ごみ減量化に対する更なる積極的な広報・啓発活動を推進する中で、生ごみ処理容器購入補助事業に取り組み、プラスチックごみの減量と再利用方法を研究していきます。
   また、脱炭素化に向けて、地域の主体による再生可能エネルギーの取り組みを進めます。

   環境と景観の保全につきましては、生活排水対策を推進するため、下水道への接続、合併浄化槽の設置を推進するとともに、河川の水質監視の充実に努め、水質汚濁の防止に努めます。

   上下水道の整備につきましては、下水道第4次事業計画区域の智徳・北新代の面整備を行い、供用開始区域の拡大を図るとともに、未接続の世帯・事業所へ働きかけを強化し、水洗化の普及を図ります。
   上水道事業については、安全な水を安定して供給するために、配水管の更新工事、ループ化等水道施設の整備を計画的に行い、水道水の水質と水量の確保、水圧の安定を図ります。

公園・緑地の整備につきましては、老朽化が進んでいる都市公園施設で、水銀灯照明の取り換え、トイレ環境の改善等、利用者が安全で快適に公園を利用できるように、広川町公園施設長寿命化計画に基づき公園の改修を進めます。

最後に

   行政サービスの向上と効率的行財政運営につきましては、「経営感覚」の視点に立った簡素で効率的な行政運営の確立を目指すため、職員のレベルアップを図るとともに、分かり易い財政情報を提供し、さらなる効率化に取り組みながら、財政の健全化と質の高い行政サービスを低コストで提供することに努めます。
   施設の長寿命化や国道3号バイパス事業に関連した財政需要に対応していくための資金の留保が必要です。一般財源枠配分方式による予算編成の結果を検証し、改善することで毎年資金留保ができる体質を構築していきます。
   また、適正かつ公平な課税と収納を実現するため、課税客体把握の強化と収納率の向上に努め、町財政の健全な運営を図ります。
   なお、本年度は、9月に新庁舎が供用開始いたします。住民の皆様にお披露目できることを楽しみにしております。

   また、第5次総合計画の策定に取り掛かるとともに、都市計画マスタープランの見直し、農業振興地域整備計画の見直しを進めていきます。

   予算編成につきましては、令和4年度一般会計当初予算は、約95億3千万円と過去最大の予算規模となりました。今後も、国・県の補助金の確保等、より一層の財源の確保に努めてまいります。

   以上が、令和4年度の私のまちづくりに対する基本姿勢と主要施策であります。
   今後、第4次総合計画(改訂版)に掲げる基本理念の実現及び人口ビジョンの実現に向け、全力で取り組んでまいります。

   私たちが広川町民であることに誇りを持ち、住み続けたいと思える「だれもが元気で笑顔に満ちたまち 広川」を目指してまいりますので、皆様方の一層のご理解とご支援、ご協力を重ねてお願い申し上げ、私の所信といたします。

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