令和3年度施政方針

町議会3月定例会において、町政運営の基本的な考え方や主要な取り組みなどを示す「施政方針」を、町長が表明しました。

昨年から感染拡大を繰り返した新型コロナウイルスにより、社会経済を始めあらゆる領域が大きな影響を受け、人々の生活が危機にさらされました。既存の政策だけでは対応しきれない困難な状況が今後も続くものと予想されます。国、自治体が一体となり総力をあげて対応することが従前にも増して強く求められています。

まずは、町民の皆様の命と健康を守ることを最優先に、新型コロナウイルス感染拡大防止とその予防に全力で取り組み、安心して暮らせる日常を取り戻すことが第一だと考えます。

現在の国づくりは、東京一極集中の是正と、地域の多様性を重視した暮らし方などにより「分散する社会」を目指しています。地方が見直されつつある中で、広川町では、令和3年度から3年間のまちづくりの方向性を示す「広川町第4次総合計画(改訂版)」がスタートします。「だれもが元気で笑顔に満ちたまち 広川」を将来像に、町民一人ひとりが主体的に参画・協働するまちづくりを共通の目標としています。

また、人口ビジョンの実現に向け、「第2期広川町まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げる4つの基本目標達成のため、雇用の創出、関係人口拡大、移住者支援、結婚・出産・子育て支援、特色ある地域づくりなどの移住・定住施策を引き続き実施します。

それでは、令和3年度の町政運営にあたりまして、第4次総合計画(改訂版)に掲げる6つの基本施策に沿って説明申し上げます。

基本施策1 出会いと語らいのあるまち

協働によるまちづくりの推進及びコミュニティ活動の推進につきましては、「第2次広川町協働推進計画」に基づいた住民自治の確立や、地域の課題解決のため、行政区、地域コミュニティ組織、NPO・ボランティア団体、企業・事業所等と連携し、住民参画と活動による協働のまちづくりを推進します。本年度から第2期地域づくり計画がスタートします。地域の創意と工夫による個性ある地域づくりを推進するため、引き続き行政区への支援を行います。

情報化の推進につきましては、インターネットによる情報発信や行政サービスの提供を推進し、マイナンバーカードを利用した行政手続きの利便性向上とカード普及のための支援を行います。また、電子自治体構築に向けて特定個人情報管理などの情報セキュリティーの強化を図ります。

交流活動の推進につきましては、上広川小学校と地域が連携した国際理解教育及び国際交流活動事業を推進し、本町と海外を繋ぐグローカル人材の育成を図ります。

人権尊重社会の形成につきましては、同和問題をはじめとするあらゆる差別の解消を実現するため、人権が大切にされる豊かな地域社会づくりに向け、各種団体と連携強化を図り、学校教育や社会教育における人権教育・人権啓発を推進します。

男女共同参画社会の実現につきましては、男女が互いに人権を尊重し、個性と能力を十分に発揮し、自分らしく輝いて暮らせる社会の実現に向け、「第2期広川町男女共同参画基本計画」に掲げる基本理念に基づき、意識づくりや環境づくりを進めます。

基本施策2 人と人とが支え合うまち

自らの健康づくりの推進につきましては、町民の健康寿命の延伸に向けた、健康づくり・疾病予防の推進を強化するため、「運動ジム事業」など楽しみながらの健康づくりの取り組みによる運動習慣化の普及と健康寿命延伸のための保健指導を充実させます。

地域福祉の推進につきましては、地域共生社会の実現を図るため、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する福祉サービスの提供、包括的な支援体制の構築に向けた取り組みを推進し、第2期広川町地域福祉計画の基本理念「みんなの支え合いの輪が広がり、安心して健やかに暮らせる笑顔のまち ひろかわ」の実現を目指します。

高齢者福祉の推進につきましては、「第8次広川町高齢者保健福祉計画」に基づき、「だれもが安心して健やかに暮らし続けていけるまちづくり」を目指し、人生100年時代を見据えた高齢者の健康増進を図るため、保健事業と介護予防事業を一体的に取り組むなど、各施策・サービスを推進します。
また、国が策定した成年後見制度利用促進基本計画に基づき、高齢者等の成年後見制度の利用促進を図るため、権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりや市町村計画の策定など、支援体制整備に向けた取り組みを推進します。

障がい者福祉の推進につきましては、「第6期広川町障害福祉計画」及び「第2期広川町障害児福祉計画」に基づき、障がい者の日常生活の支援を行うとともに、障害者基幹相談支援センターの機能強化を図り、相談支援・情報提供体制の充実を図ります。

社会保障の適正な運営につきましては、国民健康保険事業適正運営のため、国保税の収納率向上に努めるとともに、国保税の県内均一化を見据えながら、資産割の廃止を含め、計画的に適正な税率改正を実施します。

子育て支援の充実につきましては、「第2期 広川町次世代育成支援行動計画及び、子ども・子育て支援事業計画」に基づき、事業推進に努め、昨年10月に開設した子どもサポートセンターにおいて、妊娠・出産・子育てに関する相談に応じ、妊娠期から子育て期までの切れ目のない相談支援体制の充実に努めます。

基本施策3 人が育つ、人を育てるまち

学校教育の充実につきましては、本町の教育基本目標である「志を持ち生きる力を身につけ、たくましく生きる子どもを育てる学校教育」の充実を図るため、小・中学校が連携し、9ヵ年をつないだ取り組みによる児童・生徒の学力向上・体力向上を図ります。
また、ICT教育充実のためICT支援員を学校に派遣して、教職員の技術向上と下広川小学校を拠点校とした実践研究を行います。

生涯学習の推進につきましては、町民の学習ニーズに対応する特色ある体験学習・生涯学習を充実させ、幅広く町民が参加できる生涯学習プログラムを実施します。
また、第2次子どもの読書活動推進計画を策定し、次代を担う子供たちのために、幼少期から本に親しむことができる家庭教育支援を推進します。

生涯スポーツの推進につきましては、町民の健康づくり、体力づくりに対する関心が高まる中、新型コロナウイルス対策を十分に講じながら、だれもがスポーツに親しむことができる環境づくりを推進します。

青少年教育の推進につきましては、学校・地域・家庭との連携、協働により世代間交流や子どもの遊び場づくりなど地域全体で、子ども達の成長を支える取組みを推進します。

多様な文化・芸術活動の支援につきましては、各種団体の文化芸術活動の活発化と文化財の保存・活用を進めます。

基本施策4 人が集まり、働き、賑わうまち

農林業の振興につきましては、認定農業者の育成と組織の強化を目指し、JA就農支援センターと連携し、新規就農者の指導育成を図るとともに、昨年、住民主導にて設立された「『ひろかわ』ブランド推進協議会」との協働により、町の特産品を活用した商品開発と広川町の知名度の向上を図ります。
また、林業については、福岡県荒廃森林整備事業などの森林保全・育成事業の推進を図り、森林の持つ多面的機能の持続的発揮に向けた、森づくりを進めてまいります。
農業生産基盤の充実として、県営事業「前川原井堰整備事業」の完成と、新規事業として「古賀井堰改修事業」に着手します。また、農村環境整備事業を活用した施設整備を進めます。

工業・地場産業の振興につきましては、新規創業者の支援とともに、商工業者の第二創業、新事業展開などの経営支援に取り組み、地域の経済活性化を推進します。さらに、将来の雇用拡大の取り組みとして、産業団地整備を進めます。
また、久留米絣の主産地である強みを最大限に活用し、繊維産業に関心を持つ人材の確保と繊維産地としての強化を図ります。

商業・サービス業の振興につきましては、新型コロナウイルスによる影響で経営に支障をきたしている経営者への支援を行いつつ、魅力ある商業環境づくりを進めます。

観光戦略の展開につきましては、コロナ禍の現状に対応した小規模や密を避けた新たな観光、イベント等を検討し、観光拠点施設「まち子のおやつ」を中心に、町内の観光所・施設をつなぎ、魅力ある観光地としてのPRに取り組みます。

移住・定住の促進につきましては、上広川校区の定住促進強化地域の指定を期間延長し、移住定住のための支援策を引き続き実施するとともに、情報発信の強化を図り、関係人口拡大と移住定住や労働力の確保につなげます。

基本施策5 安全・安心で安らぐまち

消防・防災対策の充実につきましては、大規模な自然災害に備えるため、自主防災組織における訓練等の充実、防災情報発信の強化、消防設備の機能向上に取り組みつつ、消防団員の確保、団員の消防技術の向上に努めます。
また、防災重点農業用ため池については、ため池耐震及び劣化調査を実施するとともに、ハザードマップを作成し、非常時の避難行動につなげる対策の周知を行います。また、老朽化した広川防災ダムの改修更新事業を計画的に行います。

交通安全・防犯体制の充実につきましては、道路の危険箇所の改善や歩行空間の確保、防犯カメラの設置などを進めるとともに、交通安全・防犯意識の高揚を図ります。

居住環境の整備につきましては、空き家等の実態把握の結果を基に、空き家対策特別措置法及び広川町空き家等対策計画に基づいた措置を講じ、空き家所有者への指導・助言・勧告等により空き家の適正管理に努めます。
また、住宅の耐震化、危険な老朽家屋除去等により安全安心の確保と住環境の改善を図ります。

道路・交通網の整備につきましては、町の最重点課題として国への要望活動を進めてきた国道3号広川八女整備計画について、引き続き八女市と連携し、国道3号バイパスの早期着手を目指します。
また、主要地方道の歩道設置及び交差点改良についても関係機関へ積極的に要請し、早期の完成を目指すほか、未着手区間の事業化への要望を進めます。道路インフラの老朽対策として、橋梁の再点検と橋梁長寿命化改修事業を進め、舗装点検を行い計画的な舗装修繕を実施するなど、道路の計画的な安全管理に努め、安全安心な道づくりを推進します。

基本施策6 自然と共生する快適なまち

循環型社会の形成及び環境と景観の保全につきましては、ごみ減量化に対する積極的な広報・啓発活動はもとより、下水道への接続、合併浄化槽設置を推進するとともに、国が進める脱炭素社会構築のため、太陽光、小水力発電などの新エネルギーの活用を促進しながら、国の施策の具体化に歩調を合わせ、積極的に取り組んでまいります。

上下水道の整備につきましては、下水道第4次事業計画区域となる智徳・久泉・北新代の面整備を着手するとともに、供用開始済みの処理区域及び地区については、未接続の世帯・事業所へ働きかけを強化し、水洗化の普及を図ります。上水道事業については、安全な水を安定して供給するために、配水管の更新工事、ループ化等水道施設の整備を計画的に行い、水道水の水質と水量の確保、水圧の安定を図ります。

公園・緑地の整備につきましては、老朽化が進んでいる都市公園施設は、利用者が安全で快適に公園を利用できるように、広川町公園施設長寿命化計画を見直し、計画的に改善を図ります。

最後に

行政サービスの向上と効率的行財政運営につきましては、「経営感覚」の視点に立った簡素で効率的な行政運営の確立をめざすため、職員一人ひとりの資質の向上を図るとともに、分かり易い財政情報を提供し、さらなる効率化に取り組みながら、財政の健全化と質の高い行政サービスを低コストで提供することに努めます。

第4次総合計画(改訂版)と合わせて見直しを行った財政計画については、コロナ禍による影響を再積算し見直しを行います。また、適正かつ公平な課税と収納を実現するため、課税客体把握の強化と収納率の向上に努め、町財政の健全な運営を図ります。

なお、収束が見えない新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため感染予防策を講じながら、コロナウイルスワクチン接種体制の確立と、町民の生活の環境維持、並びに経済活動に対する支援策等引き続き検討してまいります。

以上が、令和3年度の私のまちづくりに対する基本姿勢と主要施策であります。今後、第4次総合計画(改訂版)に掲げる基本理念の実現及び人口ビジョンの実現に向け、全力で取り組んでまいります。

私たちが広川町民であることに誇りを持ち、住み続けたいと思える「だれもが元気で笑顔に満ちたまち 広川」を目指してまいりますので、町民の皆様方の一層のご理解とご支援、ご協力を重ねてお願い申し上げ、私の所信といたします。

この記事に関するお問い合わせ先

企画課 企画係

〒834-0115
福岡県八女郡広川町大字新代1804-1
電話:0943-32-1196/ファクス:0943-32-5164

メールでのお問い合わせ