令和2年度施政方針

町議会3月定例会において、町政運営の基本的な考え方や主要な取り組みなどを示す「施政方針」を、町長が表明しました。

令和2年度施政方針

 我が国の経済は、内閣府が2月に発表した「日本経済2019‐2020」によると、「外需は弱いものの、雇用・所得環境の改善などにより、内需を中心に緩やかに回復している。」とされています。しかし、生産関連などの統計から算出する景気動向指数による基調判断は、昨年12月まで5か月連続で「悪化」となりました。また、新型コロナウイルスの感染症拡大が大きなリスクとなっており、市場では日本経済は後退局面にあるとの見方も出てきております。

 政府は、令和2年度予算編成の基本方針で、「経済再生なくして財政健全化なし」の基本方針の下、デフレ脱却・経済再生と財政健全化に一体的に取り組み、2020年ごろの名目GDP600兆円経済と2025年度の財政健全化目標の達成を目指すことを基本とし、財政健全化への着実な取組を進める一方で、賃上げの流れと消費拡大の好循環に向けた取組や、Society5.0 時代に向けた人材・技術などへの投資、次世代型行政サービスなどの抜本強化といった生産性の向上に向けた取組、3年間集中の防災・減災、国土強靭化の緊急対策など、重要な政策課題への対応に必要な予算措置を講ずるなど、メリハリの効いた予算編成を目指すとしております。
 また、地方財政計画では、地方が人づくり革命の実現や地方創生の推進、地域社会の維持・再生、防災・減災対策などに取り組みつつ、安定的な財政運営を行うことができるよう、地方交付税などの一般財源総額について、令和元年度を上回る額を確保するとしております。

 人口問題では、人口動態統計2019年の年間推計で、国内の出生数は86万4千人となり、統計開始以来初めて90万人を下回り、出生数が死亡数を下回る人口の「自然減」も51万2千人と、人口減少が加速しております。また、人口移動報告では、東京圏への転入超過数が14万8千人を超えており、依然として東京一極集中は拡大し続けております。
 本町の人口動態は、令和元年度においては、転入数が転出数を上回り98人の転入超過となりましたが、出生数が137人で、統計開始以来最も少ない人数となりました。結果として人口減少は進んでいる状況であります。

 一方、雇用の状況につきましては、本町を含む筑後地域における有効求人倍率は、令和元年12月時点で1.56と高い水準を維持しております。

 このような社会経済情勢の下、本町では、「広川町第4次総合計画   人と笑顔とふれあいのまち広川」の実現に向け、まちづくりの基本理念である「定住を進める」「豊かに暮らす」「人材を育てる」「地域を基礎に」の4つの柱の下、各種施策の実行に全力で取り組んできたところでございます。

 また、人口ビジョンの実現に向け、「広川町まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げる4つの基本目標達成のため、雇用の創出、関係人口拡大、移住者支援、結婚・出産・子育て支援、特色ある地域づくりなどの移住・定住施策を実施しております。さらに、「第2期 広川町まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき人口減少対策に引き続き取り組んでまいります。

 それでは、令和2年度の町政運営にあたりまして、広川町第4次総合計画の実現に向けた6つの基本施策に沿って説明申し上げます。

基本施策1「出会いと語らいのあるまち」

 協働によるまちづくりの推進およびコミュニティ活動の推進につきましては、「広川町協働推進計画」に基づいた住民自治の確立や、地域の課題解決のため、行政区、地域コミュニティ組織、NPO・ボランティア団体、企業・事業所などと連携し、住民参画と活動による協働のまちづくりを推進します。本年度は、地域の現状と課題を分析し、第2次広川町協働推進計画を策定します。

 本年度が最終年度となる第1期地域コミュニティ事業につきましては、第1期の総括と令和3年度からの第2期地域コミュニティ事業の地域づくり計画の策定を支援します。

 交流活動の推進につきましては、地方創生の取り組みとして、上広川小学校と地域が連携した国際理解教育および国際交流活動事業を推進し、本町と海外を繋ぐグローカル人材の育成を図ります。

 人権尊重社会の形成につきましては、同和問題をはじめとするあらゆる差別の解消を実現するため、人権感覚が生きづく地域社会づくりに向け、各種団体と連携強化を図り、学校教育や社会教育における人権教育・人権啓発を推進します。

 男女共同参画社会の実現につきましては、男女が互いに人権を尊重し、個性と能力を十分に発揮し、自分らしく輝いて暮らせる社会の実現に向け、「広川町男女共同参画基本計画」に掲げる基本理念に基づき、意識づくりや環境づくりを進めます。

 人口減少対策として、定住促進強化地域に指定した上広川校区につきましては、移住定住のための支援策を引き続き実施するとともに、情報発信の強化を図り、関係人口拡大と移住定住や労働力の確保につなげます。

基本施策2「人と人とが支え合うまち」

 健康づくりの推進につきましては、町民の健康寿命の延伸に向けた、健康づくり・疾病予防の推進を強化するため、「運動ジム事業」を拡大し、運動習慣化の普及と楽しみながらの健康づくりに取り組みます。また、人生100年時代を見据えた高齢者の健康増進を図るため、きめ細かな保健事業と介護予防事業を一体的に取り組みます。

 地域福祉の推進につきましては、地域共生社会の実現に向け、第2期広川町地域福祉計画に基づく包括的な支援体制の整備に努め、みんなの支え合いの輪が広がり安心して健やかに暮らせるまちづくりを進めます。

 高齢者福祉の推進につきましては、「高齢者保健福祉計画」に基づき住民主体の地域通いの場の推進を図るとともに、介護予防サポーターの育成や実践的な介護予防活動の取り組みを推進します。

 障がい者福祉の推進につきましては、障がい者の日常生活の支援を行うとともに、相談支援体制の整備に取り組みます。障がい者のワンストップ窓口として、基幹相談支援センターを設置し、身近な相談支援体制の充実に努めます。また、令和3年度からの「第6期広川町障害福祉計画」および「第2期広川町障害児福祉計画」を策定します。

 社会保障の充実につきましては、国民健康保険事業適正運営のため、国保税の収納率向上に努めるとともに、国保税の県内均一化を見据えながら、資産割などの保険税率改正に取り組み、適正な税率を決定するための協議を重ねます。

 子育て支援の充実につきましては、「第2期 広川町次世代育成支援行動計画および子ども・子育て支援事業計画」に基づき、事業推進に努め、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援の充実を図るため、子育て世代包括支援センターを設置し、相談支援体制の充実に努めます。また、保育所などに係る保護者負担の軽減として、0歳児から2歳児までの保育料軽減を図ります。

基本施策3「人が育つ、人を育てるまち」

 幼児教育・学校教育の充実につきましては、本町の教育基本目標である「志を持ち生きる力を身につけ、たくましく生きる子どもを育てる学校教育」の充実を図るため、小学校・中学校が連携し、新学習指導要領に沿った教育活動を推進し、児童生徒の学力向上・体力向上を図ります。また、幼児期から絵本に親しむ環境づくりを推進するため、家庭における親子の読書習慣の育成を図り、読書の意義・重要性を再認識する事業を展開します。

 学校教育施設の充実につきましては、公共施設等総合管理計画に基づき、学校施設長寿命化計画を策定し、中長期的な施設の機能・性能の確保を図ります。また、ICT教育充実のため国が推奨する「GIGA(ギガ)スクール構想」に向け、高速大容量のネットワーク環境の整備を図ります。

 生涯学習の推進につきましては、地方創生の取り組みとして、町内企業への職場見学、近隣の大学での特色ある体験学習、模擬授業などを通じ、地域の魅力や素晴らしさを伝え、ふるさとに誇りを持つ子どもの育成に引き続き取り組みます。また、地域に密着した社会教育活動を展開するため、公民館活動の拠点となる公民館の施設補助を拡充し、幼児から高齢者まで幅広く町民が参加する生涯学習プログラムを実施します。

基本施策4「人が集まり、働き、賑わうまち」

 農林業の振興につきましては、認定農業者の育成と組織の強化を目指し、JA就農支援センターと連携し、新規就農者の指導育成を図るとともに、農産物の「ひろかわブランド」確立に向けた販路拡大や農産物PRに取り組みます。また、林業につきましては、持続的な林業経営を図るため、地域産木材の利用促進と、福岡県荒廃森林整備事業などの森林保全・育成事業の推進を図り、森林の持つ多面的機能の持続的発揮に向けた、森づくりを進めてまいります。

 農業生産基盤の充実として、県営事業前川原井堰整備事業の推進と、農村環境整備事業を活用した施設整備を進めます。

 工業・地場産業の振興につきましては、新規創業者の支援とともに、商工業者の第二創業、新事業展開などの経営支援に取り組み、地域の経済活性化と雇用の確保を目指します。さらに、将来の雇用拡大の取り組みとして、産業団地整備構想づくりを目指します。

 地方創生事業の取り組みとして、久留米絣の主産地である強みを最大限に活用し、繊維産業に関心を持つ人材の確保と、大学と連携し久留米絣が抱える課題解決に向けた取り組みを進め、繊維産地としての強化を図ります。

 観光戦略の展開につきましては、観光拠点施設「まち子のおやつ」を中心に、町内の観光所・施設をつなぎ、魅力ある観光地としての情報発信に努め、関係人口拡大に向けた取組を実施します。

基本施策5「安全・安心でやすらぐまち」

 消防・防災対策の充実につきましては、大規模な自然災害に備えるため、事前防災・減災と迅速な復旧復興施策およびまちづくり政策も含めた総合的な取り組みを推進するための、国土強靭化地域計画を策定するとともに、自主防災組織における訓練などの充実、防災情報発信の強化、消防車両などの機能向上に取り組みつつ、消防団員の確保、団員の消防技術の向上に努めます。
 また、防災重点ため池については、ため池耐震調査を行い、堤体の安全性の照査を実施します。また、ハザードマップを作成し、非常時の避難行動につなげる対策の周知を行います。

 交通安全・防犯対策の充実につきましては、道路の危険箇所の改善や歩行空間の確保など整備を行うとともに、災害時の緊急車両への対応、バリアフリー化、環境・景観に配慮した安全で快適な道づくりを目指します。道路インフラの老朽対策として、橋梁の再点検を進め、橋梁の安全性の確保を図り、舗装点検を行い、計画的な舗装修繕を実施するなど、道路の計画的な安全管理に努め、安全安心な道づくりを推進します。

 市街地・居住環境の整備につきましては、空き家対策特別措置法に基づき空き家の実態把握を進めるとともに、特定空き家所有者への指導・助言・勧告により空き家の適正管理に努めます。また、住宅の耐震化、危険な老朽家屋除去などにより安全安心の確保と住環境の改善を図ります。

 道路・交通網の整備では、町の最重点課題として国への要望活動を進めてきた国道3号広川~八女整備計画については、本年3月末には国の整備方針が示される予定と聞いております。当該事業につきましては、八女市とも連携し、本町が目指す国道3号バイパス構想の早期実現を目指します。また、主要地方道の歩道設置および交差点改良についても関係機関へ積極的に要請し、早期の完成を目指すほか、未着手区間の事業化への要望を進めます。

 地方創生の取り組みとして、本町と都市部とのアクセス向上を高めるため、高速バスの利便性向上を図る施策を研究し、公共交通機関の充実を進めます。

基本施策6「自然と共生する快適なまち」

 下水道事業につきましては、第3次認可区域となる吉常・長延・太原・吉里の面整備を完成させるとともに、供用開始済みの処理区域および地区については、未接続の世帯・事業所へ働きかけを強化し、水洗化の普及を図ります。事業計画については、令和3年度からの第4次事業計画区域を決定します。

 上水道事業につきましては、安全な水を安定して供給するために、配水管の更新工事、ループ化など水道施設の整備を計画的に行い、水道水の水質と水量の確保、水圧の安定を図ります。

 循環型社会の形成および環境保全につきましては、ごみ問題に対する積極的な広報・啓発活動はもとより、生ごみ堆肥化の取組、下水道への接続、合併浄化槽設置を推進するとともに、河川の水質監視に努め水質汚染の防止を図ります。さらに、八女中部衛生センターの竣工に伴い、学校給食残渣(ざんさ)処理体制を確立します。

 公園の整備につきましては、住民のより身近な場所で、子どもから高齢者までが利用する地域公園整備の支援を継続し、地方創生の取り組みとして、新設する「まち子のおにわ」を拠点に、ボランティア団体とも連携し、安心して子どもを遊ばせることができる遊び場を創出します。

最後に

 行政サービスの向上と効率的行財政運営につきましては、「経営感覚」の視点に立った簡素で効率的な行政運営の確立をめざすため、職員一人ひとりの全体的な資質の底上げを積極的に行い、職員の能力開発を進めるための研修の充実を図るとともに、法令遵守と服務規律の確保に努め、町民に信頼される人材の育成を図ります。
 将来にも持続可能な行財政運営に資するため、事業の再検証と財政計画の見直しを行います。また、公正かつ適正な課税と収納を実現するため、課税客体把握の強化と収納率の向上に努め、町財政の健全な運営を図ります。

 新庁舎建設につきましては、事業費・財源などの検証を十分に行い、調査・設計業務および既存施設の解体を進め、本年中の工事着工を目指します。

 なお、最終年度となる「広川町第4次総合計画」については、基本構想を踏襲した「広川町第4次総合計画(改訂版)」として、令和3年度からの3ヶ年の期間を延長した計画として策定作業を進めます。

 予算編成につきましては、一般会計は、令和2年度当初予算および令和元年度繰越事業をあわせ約95億円の予算規模となりました。今後も、国・県の補助金の確保など、より一層の財源の確保に努めてまいります。

 以上が、令和2年度の私のまちづくりに対する基本姿勢と重点施策であります。今後、第4次総合計画に掲げる基本理念の実現および人口ビジョンの実現に向け、全力で取り組んでまいります。

 私たちが広川町民であることに誇りを持ち、住み続けたいと思える「人と笑顔とふれあいのまち広川」を目指してまいりますので、町民の皆様方の一層のご理解とご支援、ご協力を重ねてお願い申し上げ、私の所信といたします。

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