○広川町補助金交付基準
平成28年3月31日
告示第35号
1 目的
この基準は、町が公益上の必要性から支出する補助金等について、交付を決定するに当たり、客観的な基準として定めるもので、透明で公正な交付手続きの確保、効率的かつ効果的な執行並びに補助金等の見直し及び評価に資することを目的とする。
2 定義
補助金とは、町が公共団体、個人等の行う特定の事業等に対し公益上必要があると認めた場合に、その事業の実施にあたり行政目的を効果的かつ効率的に達成するため、反対給付を求めることなく行う金銭的給付をいう。なお、この基準は負担金及び交付金についても適用するものとし、個々の項目において適用が可能なものについては、適宜読み替えて適用する。
※参考 ○公金の支出対象と範囲(憲法第89条)
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属さない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
○補助金の支出根拠(地方自治法第232条の2)
普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。
○負担金と交付金
・負担金…町が、法令、契約等に基づいて国、他の地方公共団体等との特定事業からの特別の利益を受けることに対して、一定の金額を負担するもの
・交付金…本来、町が行うべき事務を法令、条例等により、団体や組合等に委託する場合において、当該事務処理の報酬として支出するもの
3 適正化の指針
補助金は、公益上必要がある事業に対し交付されるものであり、住民福祉の向上や公益活動の活性化に役割を果たしてきました。一方で、一度創設された補助金等は廃止することが難しく、現状として補助金等の長期化・既得権化という問題が生じ、交付の効果が明確でない補助金等も見受けられます。
そこで、補助金交付について、原則である公益性の要件を備えより適正な交付が行われるよう以下の指針を策定します。
なお、この交付基準の対象は、補助金のほか負担金や交付金を含むものとし、適正化にあたっては、交付先である団体等の理解が得られるようその立場や活動に十分配慮して実施するものとします。
(1) 共通指針
すべての補助金について、以下の項目に従い適正化を図ります。
・補助金の適正化や創設にあたっては、次の5つの視点に基づいて実施する。
区分 | 視点 |
公益性 | 客観的にみて公益上必要であると認められるかどうか |
必要性 | (1) 事業の目的、内容等が社会経済情勢に合致していること (2) 行政と住民の役割分担において、町が関与すべき事業と認められるか |
先駆性 | 内容や手法に先見性があり、まちづくり等の先進事例として効果が期待できるか |
事業費の妥当性 | 直接公益的な事業に結びつかない経費や、社会通念上公金で賄うことがふさわしくない経費が含まれていないか |
公平性 | (1) 補助の効果が広く住民に行き渡り、特定の者の利益に終わっていないか (2) 同様の活動を行う団体等に対し、補助金を受けられる機会が与えられているか |
(2) 補助要綱の整備
補助金には、全ての補助事業ごとに補助金交付要綱に基づく補助要綱を整備すること。
(3) 補助期間(終期)
事業の目的や効果を検証するため、原則として後述の「5分類別指針 ◆分類別指針視点」に示す補助期間(終期)を補助要綱に定めること。
なお、補助期間(終期)は補助金の継続交付を否定するものではなく、事業の目標達成に向けた努力の促進と、効果や必要性を検証・評価する機会であることに留意すること。
(4) 補助率等の決定
行政として補助すべき対象・範囲・内容を精査し、その程度を補助率、補助単価等の数値で明確にし、補助額を決定する。(本来町が自ら負担し実施すべき事業の補助を除き、原則団体を対象とする場合は2分の1、個人を対象とする場合は3分の1以内とすること。)
(5) 提出書類の確認
実績報告書等事業経費の会計処理を確認できる書類を提出させ、補助対象経費に係る領収書等の支払証拠書類でその使途を審査すること。また、繰越金が多額に発生している補助金事業(団体)については、補助の合理性や団体等の適格性について検討すること。
(6) 補助対象経費
補助金に以下の経費を含む場合は、その必要性と妥当性を十分検証すること。
○人件費 ○交際費 ○慶弔費 ○飲食費 ○懇親会(親睦を目的とした視察研修費も含む) ○その他、補助金とは直接関係ない経費 |
(7) 公募型補助金制度
特定の団体に対し、長期に渡って継続している補助事業については、他に同様の活動や事業を行う団体がいないか調査確認を行い、公平性を欠く場合は、公募型補助金制度等への転換を図ること。
(8) 類似補助金
交付目的や対象、要件などが類似する補助事業については、統合・再編を図ること。
(9) 新たな補助金
新しい補助制度を創設する場合においては、限られた財源の中で効果的に事業を実施する観点から、既存事業等(補助事業に限らず)のスクラップ&ビルドを基本とし、財源捻出に努めること。
4 交付基準の対象となる補助事業
交付基準の対象は、町単独補助事業とする。なお、災害などの緊急止むを得ない補助については適用しない。
※国・県補助事業における町単独の上乗せについては、事務事業見直しの中で取り扱う。
5 分類別指針
補助金を性質別に分類し、それぞれの性質に対応した適正化を図ります。
◆補助金の性質別分類
区分 | 内容 | |
(1) 制度的補助 | ① 国、県等の制度に基づいて補助するもの ② 他の市町との協議によって補助するもの | |
(2) 団体運営費補助 | 団体等が行う事業に公益性があると認定した上、その団体等の運営に必要な基礎的経費を補助するもの | |
(3) 奨励的補助 | 町が施策を推進するための動機付けや奨励的、資金援助的に補助するもの | |
(4) 事業費補助 | ア 施策補助 | 行政目的を達成するため、本来町が主体的に取り組むべき事業、また関与すべき事業に対して補助するもの |
イ 公益事業補助 | 団体等が行う公益性の高い事業に対して補助するもの | |
ウ イベント等補助 | イベントや大会の実施経費に対し補助するもの | |
(5) 個人給付金 | 個人に対して給付補助するもの | |
(6) 利子補給金 | 借入金に係る利子に対して補助するもの |
◆分類別指針
区分 | 補助期間(終期) | 視点 | |
(1) 制度的補助 | ○国、県等の制度が終了した時点で廃止することを基本とすること。 | ○各制度に定める基準により実施するため、原則対象外。 ただし、国、県等の制度に上乗せ又は対象の拡大を行った部分の補助金は、(2)~(5)のいずれかに分類し、別に評価すること。 | |
(2) 団体運営費補助 | ○原則3年以内とする。 ※個々の制度の随時見直しを否定するものではない。 | ○補助の目的及び対象の明確化を図るため、団体の運営自体に公益性が薄れているものは事業費補助へ転換すること。 ○繰越金が補助金を上回るなど、団体の収支状況も踏まえ補助の適否を判断すること。 ○団体の自主財源の確保にむけ努力を促すこと。 ○同様の対象活動を行う団体等が存在する場合は、公平性を欠かないよう留意すること。 ○補助による活動が一過性に終わることなく、運営体制確立に資するものであること。 ○委託業務的な補助と自主的な活動支援とを明確化し、補助制度を整理すること。 | |
(3) 奨励的補助 | ○補助に要する予算総額や補助目標の指標を設定し、目標到達時点を終期とすること。 ○目標を設定しがたいものは原則3年以内とし、補助効果を検証した上で継続の適否を判断すること。 | ○過度の交付とならないよう、定期的に適正な補助率・補助額を定めること。 ○定期的に補助目的や内容が時代に即したものとなっているかを検証すること。 ○施設整備等の補助制度は、整備効果に留意すること。 ○公民館整備や主事配置などの直接支援を含めて、支援の効果・効率性に留意すること。 | |
(4) 事業費補助 | ア 施策補助 | ○原則3年以内とする。 ※個々の制度の随時見直しを否定するものではない。 | ○過度の交付とならないよう、定期的に適正な補助率・補助額を定めること。 |
イ 公益事業補助 | ○原則3年以内とする(整備終了まで)。 ※個々の制度の随時見直しを否定するものではない。 | ○費用に見合う効果が得られるか、事業目的や効果を事前に評価すること。 | |
ウ イベント等補助 | ○原則3年以内とする。 ○既存の補助金は、平成30年度末を終期とし、補助効果を検証した上で継続の適否を判断すること。 ※個々の制度の随時見直しを否定するものではない。 | 〇定期的に補助制度が住民ニーズに合致しているか、事業目的や内容が時代に即しているかを検証すること。 ○補助金額の算出にあたっては、対象経費、単価等を含めた積算を明確に行うこと。 ○自主財源の確保に向け努力を促すこと。 ○同様の対象事業を行う団体等の存在に留意し、公平性を欠かないようにすること。 | |
(5) 個人給付金 | ○原則3年以内とする。 ※個々の制度の随時見直しを否定するものではない。 | ○定期的に事業の必要性、対象範囲、公平性を欠いていないかを検証すること。 ○少額補助について、年々実績が減少している場合は、その原因を検証し、必要な見直しをすること。 | |
(6) 利子補給金 | ○制度の目標に応じた終期とすること。 | ○金利情勢に応じた利子補給率とすること。 |
附 則
この告示は、平成28年4月1日から施行する。