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筑後弁を混じえた角蔵ばなし

更新日:2005年7月1日このページを印刷する

 筑後弁を混じえた角蔵ばなし●第6回(98年5月掲載)

 

筑後弁を混じえた角蔵ばなし

 ある日のことです。一生懸命に働いている角蔵に長者殿が、「あすなさはよう、久留米までいたってもらわんといかんけん、きょうははよやめて、よこてくれんない」と言いました。
 「こりゃあ、よかあんべ」と、角蔵は大喜びです。早仕舞して、明るいうちに風呂に入り、早々に休みました。
 問題は翌朝に起きました。夜が明けて、太陽がずい分高く昇っても、一向に角蔵が起きてくる気配はありません。
 かんかんに怒った長者殿が、角蔵の寝床に行って見ますと、なんとグーグーと高いびきで寝ているではありませんか。
 「けさはよ、久留米までいたてもらわにゃんち、あげん言うっとたろが」と、長者殿が怒鳴り声で言ったものですから、角蔵はびっくりして飛び起きました。
 そて答えることが振っています。「久留米にゃ、もういたて来て、戻ってひとよけしとっとこです」、さらに加えて一言、「用んあんなら、はよ言うとってもらうと良かったつに」と、平然たるものです。
 これには日ごろ口うるさい長者殿も、開いた口がふさがりませんでした。
 角蔵と言えば足の速いことでは近隣に聞こえた男でしたが、このように時々、庄屋殿や長者殿を相手に頓智を効かせた掛け合いをやっては、周囲を笑わせてもいました。
 なかなかの渋膽丸の男ではありましたが、どことなく憎めない人の良さがありましたので、村の衆からは「角蔵どん、角蔵どん」と親しまれていたと言うことです。

 〈筑後弁の説明〉
 あすなさはよう ・・・ 明朝早く。
 いたてもらう ・・・ 行ってもらう。
 いかんけん ・・・ いけないから。
 よこてくれんない ・・・ 休んでくれ。
 あげん ・・・ あんなに。
 ひとよけ ・・・ ひと休み。
 しとっとこ ・・・ しているとこと。
 言うとって ・・・ 言っておいて。
 あんべ ・・・ 按配、具合い。

 藩政時代には村々の生活状況は、決して楽ではありませんでした。そんな中にも、どこの村にも角蔵のような頓智の効いた人がいたものです。
 有名なのが、吉四六さん(豊後)であり、とんち彦一でしょう。
 私たちの近隣にもたくさんいます。三潴には権祢どん、久留米の飯田には茂左どん、八女の宅間田には久敬さんなどなど、それぞれに似たような筋の話がたくさん語られています。厳しい生活の中で民衆は、せめてもの溜飲を下げていたのです。

 広川町郷土史研究会

 文・岳野 住人 画・梅本 光男

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